ウブドへ

蚊が出てイラついたけど、久々のシングルはとても快適だ。気持ちよく寝れた。

パリのホテルは、朝食付きなのも魅力。フルーツ沢山の朝食を食べて、昨日古本屋で買った地球の歩き方を見ながら、今後の予定を考える。

クタにこのままいるか、ウブドに行くか…

インドネシアの観光ビザの有効期限は1ヶ月。

この期間中に出国しなければいけない。

今後の移動を考えると、バリ島では大体2週間ほどの滞在を予定していた。

それをクタにするか、ウブドにするか迷っているのである。

前回訪れた時、ウブドにはツアーで少し立ち寄ったが、その時の風景、素朴な雰囲気の街がとても印象的だったのだ。

しかし、このクタの騒々しさも悪くない。

物乞いや客引きなど、うっとおしさはあるが、

色々と物も揃っていて、行動しやすいのは魅力的だ。

あれこれ迷ってはいたが、とりあえずクタを散策しながら考え歩く。

ふと、前回泊まったホテルにまでたどり着いた。

私の中では良き出会いに恵まれ、さまざまな思い出のあるホテルである。

少し覗いてみて、良ければこっちに移動してみようかと考え、部屋を見せてもらうも、…ん?

なんか、雰囲気ちゃうなぁ…と感じてしまった。

なんか暗い感じもする。思い出は美化されているのか。

ここにはなんか泊まりたくない気がした。

そして、クタビーチへ向かい、しばらく歩くがやはりウザい。いい奴もおるけど、ひつこいからめんどくさい。客引き、物乞い。

 

賑やかなクタビーチの物売りを冷やかしながら歩く。ここの雰囲気は昔と変わらない気がした。欲望、熱量、色んなものが渦巻きながらも素朴な感じもあり、夕暮れ時は全てが一瞬リセットされるような。

 

とりあえず宿に帰ると、今日来たばかりのコータ君と知り合う。

 

アジアを数カ国旅してるらしく、色々と話を聞くことができた。

これから行くことになるであろう、タイや、マレーシアの情報など聞けたのは有意義だったが、理屈っぽくて自分の話が長い。

気の合う人なら、このまましばらくクタの選択肢もありだったが…決めた。明日ウブドに行こう。

 

朝、チェックアウトの時には10人近い日本のサーファー達が群れだってチェックインを始めていた。

否定する気はないけど、一緒にいたくないと思った。ウブドに決めて正解。

 

シャトルバスのチケットを買い、ウブドへ。

日本の教習所の送迎バスぐらいの大きさ。

車内はギュウギュウで、暑い。

道もかなり混んでいて、砂埃が舞い、クラクションが鳴らされる。

こんな移動になぜか1人興奮している。

すごく楽しくてワクワクする。窓から流れる風景を眺めながら、旅の雰囲気を味わいながら。

 

ウブドへはそこまで遠くない。

到着したターミナルでは、いつものように客引きもいたけれど、クタとは違ってとても穏やかな雰囲気だ。

目星をつけていたホテルへ、適当に交渉してバイクで送ってもらう。

 

ホテルは中庭があり、南国の雰囲気満点のキレイで清潔感溢れるホテル。従業員も優しく、これで一泊1000円もしなかったと記憶している。

部屋は天蓋がベッドについてるような、豪華なシングルで、即決した。

 

そして、すぐに泊まっている、トマさん、リンさんと知り合う。

少し遅れて、ジュン君というのも現れた。

どうやら、トマさん、リンさんはカップルで、ジュンくんは学生の旅行中。

たまたま日本人がこのように巡り会ったわけだが、もちろん全て偶然の出会いだ。

楽しそうな予感もする。

しかも、このトマさんとは10年経った後も会うことになるのだった…。